必ずしも足の速さに直結するものではないと思いますが、陸上競技等においてよいパフォーマンスを導くために、意外に忘れがちな足回りの機能性向上のために跪座(跪坐、きざ)と膝行(しっこう)、という動作鍛錬をおすすめしたいと考えました。
跪座(跪坐、きざ)と膝行(しっこう)とはなんぞや?
まず、跪座(跪坐、きざ)は正座で、つま先立ちした姿勢のことを言います。
膝行については、動作なので動画をみたほうがわかりやすいと思います。
目次
合気道入江道場稽古法:膝行 aikido iriedojo shikkou
これはどこかで定義を確認したわけでもなく、あくまで個人的な見方ですが、たとえば昔の武士だったら、敵の襲撃などいざという時に瞬間的に防御ないし反撃を行う必要がありますね。
そのために常に足の拇指球と指とでセットで地面や床を捉えておく、そんな待機の姿勢を取る必要があるわけですね。
実は和式トイレを毎日使う生活が残っていれば、自然とこの鍛錬ができるわけです。
それができなくなった今、たとえば競技者であれば、しゃがむ、から立ち上がる、という動作に使う回数も時間も圧倒的に減っているわけですね。
この部分を補うことで、競技者としてのパフォーマンスは多少は向上してくれるのでは?という考えです。
大人でも足の指の部分の柔軟性や骨々の分化分担が機能していなくて、つまり、固体化してしまっていて、このつま先立ちの姿勢を取るだけで指の部分が痛くなってしまうかもしれませんね。
毎日足の骨々と腱や筋肉を使うことで、痛くならないようになり、へばりつくように地面を捉えられ、体重や荷重をささえられる足が出来上がっていくのではないか、と考えます。
ちなみに、実際に膝行をやってみるとわかると思いますが、これはほぼほぼコーディネーショントレーニングそのものです。
下半身だけでなく、上半身の「あり方」もしっかり問われる運動です。
身体のいろんな部位やバランス、筋肉だけではなく骨格優先の動作、といった多くのチェックができるトレーニングとなっています。
実際に、変なところに力が入ったままですと、たとえば走る時と同じように肩甲骨が固まっていると全体として連動して動作することができません。
大きな筋肉をドカンと動かすというより、いわゆるインナーマッスルという小さくて細い大小様々な筋肉群を連動して役割分担させながら動作するのがコーディネーショントレーニングですね。
自分の運動時の体のくせや柔軟性の左右差なども発見しやすいと思います。
これをじっくりゆっくり毎日鍛錬する、というのが、合気道でいくところの膝行ですね。
youtubeなどでは膝行の入門編の動画もたくさんありますのでチェックしてみてください。
Aikido 膝行3つのポイント/初心者「大阪道場 活法合気道」
ポイントとして、下半身をうにうにキャタピラのように連動して左右動かしながらも、頭の位置と目線は一定に保つ、という点。
これは陸上に限らず、どんなスポーツにも使えそうな鍛錬であることがわかると思います。
ちなみに自分がなぜ膝行というものに興味をもったかというと、少し古い映画でかもめ食堂というのがありましたが、フィンランドのヘルシンキで食堂を開いた小林聡美さん扮するオーナーが、毎日を整えるように丁寧に丁寧に膝行を行っていたのがとても印象的だったからです。
跪座(跪坐、きざ)や膝行(しっこう)は精神の整えにも良いと思いますし、和の動作やマナーにつながるものでもあります。
その意味でも跪座(跪坐、きざ)や膝行(しっこう)はスポーツ競技者としてのトレーニングツールとしてはもちろん、非常に奥の深い本質的なものを内在しているものと考える次第です。
跪座(きざ)と膝行(しっこう)
跪座したり、その流れで膝行の動作を行う、というトレーニングは一点だけ難があって、それは膝をつくときに痛い、というシンプルな問題がありますね。
お子さんなんかにやらせる時にはその点は気をつけてやってください。
大人が膝行する場合は、ものは考えようで、逆にスローモーションのようにゆっくり動作してみる、という手もありますね。
ゆっくり動作することで、極上のコーディネーショントレーニングができる、ということになります。